一人社長なら「iDeCo+」

厚生年金に加入している事業者のうち、
・従業員300人以下
・企業型確定拠出年金なし
・確定給付企業年金なし
・厚生年金基金なし
を満たしていれば中小事業主掛金納付制度「iDeCo+」が利用できます。

要は従業員のiDeCo掛金を天引きにして会社が上乗せする制度です。
金額は、加入者と事業主の合計で月額5,000円以上23,000円以下の範囲
ですが加入者掛金は最低5,000円以上なので事業主は18,000円以下となります。
事業主掛金は全額を損金に算入できます
給与ではないので随時(月単位で)調整できます。
加入者の掛金は全額が小規模企業共済等掛金控除の対象です。

フリーランスにとって合理的な保険とは

先日、「合理性で考える生命保険の活用方法」研修を受講しました。
子育て世帯の稼ぎ手に死亡保障をつければ必要十分といった話です。
ただ、同研修で言う稼ぎ手は勤め人に限るようでした。
フリーランスの場合、勤め先からの補助がないからです。 “フリーランスにとって合理的な保険とは” の続きを読む

医療費がかさんだとき

高度な検査や治療を受けると医療費がかさむものです。
その自己負担額に月ごとの上限があるのをご存じでしょうか。
「高額療養費制度」で定められた限度額を超える部分は補助されます。
※公的保険適用部分に限ります
原則として後日の払い戻しとなります。(例外は後述)

制度の利用には保険者(区市町村/保険組合)への申請が必要です。
必要な書類については保険者に確認してください。
自己負担限度額の基準は厚労省のページに掲載されています。

限度額を超えると予想できる場合は「限度額適用認定証」が使えます。
限度額適用認定証は保険者に交付を申請します。
医療機関窓口で提示すると、負担額が上記の限度額となります。
※保険料の滞納があると認定証が交付されないことがあります。

医療機関、薬局の領収書は保存しておきましょう。

追記:限度額を超えて負担した金額には請求時効があります。
時効は「診療を受けた月の翌月の初日から2年」です。
むしろ2年以内なら遡っての請求もできると言えますね。

所得を圧縮する効果

小規模企業共済、確定拠出年金などは年金や退職金の制度です。
一生現役なら「老後資金」は無用と思う人もいるでしょう。
ただ、これらの制度には所得を圧縮する効果があります。
掛金全額が所得控除になるため申告所得額が減るということです。

では、申告所得額が減るとどういう効果があるでしょうか。
・所得税が減る
・住民税が減る
・国民健康保険料が減る

所得税が減るのは確定申告でも実感できますね。
実は住民税と国民健康保険料の計算にも影響します。
どちらにも所得割という計算項目があるためです。

義務として納付している所得税、住民税、国民健康保険料。
これらは節約しても受けられるサービスは変わりません。
浮いた分を好きなことに使うほうが豊かに暮らせます。

また、「ふるさと納税」にも所得を圧縮する効果があります。
寄付金控除に該当するので上記とはまた別枠です。

それぞれ控除枠には上限があるので、完全無税とはなりません。
ですが合理的に組み合わせる余地は十分にあります。
所得を圧縮すると、むしろ可処分所得は増やせるのです。

時間が仕事をするということ

資産運用 EXPOに行ってきました。
「ライフプラン」と「資産運用」の概論からFXやCFDの各論までセミナーを聴講した結論として、フリーには確定拠出年金がおすすめできると考えています。

・毎月(または毎年)拠出が確定している
確定拠出年金について以前の記事では余裕資金でと案内していましたが、考えを改めたほうがよいようです。
収入-支出-予備費≒余裕資金(=投資に回せる)
ではなく、
収入-投資資金-予備費=支出に回せる(→適宜やりくりする)
と考えたほうが資産は増やしやすくなります。
ここで投資資金をいくら、どのくらい確保するかは目的によります。
目的がいわゆる老後資金であれば、確定拠出年金がぴったりだということです。
数年後の資金需要を見込んでいる場合は「つみたてNISA」や積立型の投資信託という選択肢もあります。
また、やりくりは変動費(教養、娯楽費など)の節約より固定費(住居費、車の維持管理費、光熱費、通信費、保険など)の削減のほうが効果的です。
「変動費を削ると生活の質が下がる」という話もありました。

・長期運用による複利効果
60歳以降の予め決めた年齢まで引き出せないということは、その枠内で何度も再投資されるということです。
ローリスク・ローリターンの運用商品でも時間をかけた効果は軽視できません。

・節税になる(→固定の支出が減る)
拠出期間中は拠出の全額が所得金額から控除されます。
運用益は非課税です。
給付時は一括であれば退職所得控除、分割であれば公的年金等所得控除の対象となります。

どの性質もこうして並べてみると目新しいものではありませんが、だからこそ見落としがちだとも言えます。
むしろ(あまり)意識せずに本来の意味での余裕資金を作れるのではないでしょうか。

ご相談はメールでもどうぞ

漠然とした悩みに対しては、まず問題の切り分けが重要です。
家計を含めたやりくり、保険、年金(老後資金)、利用できる制度など、何となく気になる方。
方向性を確認する程度のご相談でもかまいません。
内容によっては収支などの数字をお尋ねしなくともお答えできる場合があります。
相談するため足を運ぶことに時間を割きにくい方、抵抗のある方。
メールでのご相談にも対応しております。
料金は対面と同額の4000円です。
こちらのお問い合わせフォームをご利用ください。

考えないとどうなるか

個人事業主の確定申告は、売上の数字さえ正しければ何ら罰則はありません。
経費がゼロでも、所得控除が未記入でも、課税所得が大きくなる=課税額が増えるだけです。
価値観によっては、細かい仕訳にかかる手間暇より納税を選ぶのも間違いではありません。
十分な蓄えがすでにあるならば、年金や保険の心配をする必要もありません。
いくらあれば十分なのかは一例を示しましたが、これもまた個々人の価値観によります。
健康状態や家族構成によって資金を用意する必要額も優先順位も異なるはずです。
今のままで大丈夫、見通しも明るいという方が無理して工夫に走る必要はありません。
本業以外に頭や時間を使いたくない、余暇を優先したいという考えもありです。
ただ、それでも漠然と「何とかしたほうがよさそうだ」という方は是非ご相談ください。
漠然とした不安から具体的な不足部分を分析し、解決方法を考えることは代行できます。
個別の問題解決に必要な資料や知識の収集も一からご本人がする必要はありません。
必要なのは現状を把握するための情報と個人の価値観(ものごとの優先順位)です。
これも常日頃から整理できている人は少ないかと思います。
ですが第三者に話そうとする時点でおのずとある程度の整理ができるので心配はありません。
ちょっとだけ、考えてみませんか。
お問い合わせはコメント欄またはこちらからどうぞ。

一人ひとりに合わせたカスタマイズのために

この1か月、フリーランス事業者(個人事業主)に関わりのあるお金の情報を提供してきました。
個々の記事が浅く、本文のみで話の全体像が見えずご不便をおかけしているかもしれません。
ただ、このブログの主旨は飽くまで「保守的なお金のこと」に関心を持っていただくことです。
実際に対処するためにはもう少し具体的な情報や資料が必要かとは理解しております。
次の一歩は各記事のリンク先で分かる構造に極力しておりますが、まだ不足かもしれません。
一般論だけあってもどれがご自分に適しているか精査する暇がない方は、ぜひご相談ください。
フリーランス事業者と一口に言っても還付申告で済む人から一人社長までさまざまです。
誰にでも通用する最適解というものはありません。
一人ひとりに適したお金の使い方、貯め方には当人の価値観、状況が大きく関わるからです。
個別のご質問、ご相談はコメント欄またはこちらからお寄せください。

個人を取り巻くお金

お金の動きは大別すると収入、支出、貯蓄の3つです。
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収入か貯蓄(財産)が存分にあれば健在なうちはお金の心配はないでしょう。
稼ぐ(稼げる)から他は問題ない、というフリーランスも一定数はいるかと思います。
一方で、繁閑の波が大きい、自分しか稼ぎ手がいないという不安はないでしょうか。
そうした不安を解消とまではいかなくとも軽減するために、備えがあります。
単純に預金しておく、保険をかけるだけではありません。
取引先を増やす、副業を始める、投資をするのも広い意味では備えです。
また、出費を合理化して支出を抑える手を打つという備えもあります。
税金と経費のバランスは自営業者なら気になるところかもしれませんね。
ローンの借り換えや保険の見直しなどもここに入ります。
考えてみると大きな出費なのに、面倒で放置してしまっていませんか。
有給休暇のないフリーランスには検討や対処にかける手間暇の合理性も大事です。
合理性を踏まえて、各論を展開していきたいと思います。