一人ひとりに合わせたカスタマイズのために

この1か月、フリーランス事業者(個人事業主)に関わりのあるお金の情報を提供してきました。
個々の記事が浅く、本文のみで話の全体像が見えずご不便をおかけしているかもしれません。
ただ、このブログの主旨は飽くまで「保守的なお金のこと」に関心を持っていただくことです。
実際に対処するためにはもう少し具体的な情報や資料が必要かとは理解しております。
次の一歩は各記事のリンク先で分かる構造に極力しておりますが、まだ不足かもしれません。
一般論だけあってもどれがご自分に適しているか精査する暇がない方は、ぜひご相談ください。
フリーランス事業者と一口に言っても還付申告で済む人から一人社長までさまざまです。
誰にでも通用する最適解というものはありません。
一人ひとりに適したお金の使い方、貯め方には当人の価値観、状況が大きく関わるからです。
個別のご質問、ご相談はコメント欄またはこちらからお寄せください。

医療費が多くかかった年は医療費控除

その年に支払った医療費が10万円を超えるときは医療費控除が受けられます。
対象には生計を同じくする家族にかかった医療費も含まれます。
ただし入院保険などがおりた場合、その給付金額相当分は対象外です。
つまり「支払った医療費-保険金-10万円」が所得から差し引かれます。
(その年の総所得金額等が200万円未満の人はその5%)
ここで言う医療費とは、医療機関に支払った金額だけではありません。
薬局で薬を購入した場合も、治療薬であれば対象になります。
また、通院費も対象ですが、ガソリン代や駐車場の料金等は対象外です。
生計を同じくする家族でも、入院の付き添いや見舞いにかかった費用は対象外です。
本文はブログという媒体の性質上、一般的な制度の紹介にとどめております。
具体的な情報についてはコメント欄またはこちらからお問い合わせください。

デビットカードの長所と短所

クレジットカードのように使えて即時その金額が引き落とされるデビットカード。
引き落としデータが銀行口座の取引明細に記録されるのは個人事業主にとってはメリットです。
デビットカードはほぼ年齢要件のみで作成できますが、発行元が限られています。
VISAデビットカードJCBデビットカードのほうがJ-Debitより広く使えて便利です。
事業用口座がVISAかJCBのデビットカードに対応していると、経費の記帳が楽になります。
クレジットカードと異なり即時決済なので、未払金や買掛金の処理がありません。
現金勘定を迂回する(いったん下ろして現金から出費する)手間も不要です。
いつ、どこで、いくら使ったかは使うたび当該口座の取引履歴に明示されます。
銀行の取引明細を会計ソフトに自動取り込みすれば、記帳そのものが省けることになります。
レシートを保存しておいて、消耗品費などの分類ごとにまとめておくだけです。
一方、クレジットカードの用途すべてがデビットカードで代替できるわけではありません。
PASMOオートチャージなどはそもそも特定のクレジットカードに限定されたサービスです。
iDQUICPayなどの電子マネーにも使えません。
また高速道路のETC決済にも今のところ対応しているデビットカードはありません。
ただ、モバイルSuicaのチャージには使えるので、PASMOから乗り換えるという手はあります。
モバイルSuicaの利用履歴はデータとして取得でき、自動取り込みにも対応しています。
電子マネー対応店舗ではSuica(「交通系電子マネー」)を使うと割り切ってもよいでしょう。
※特定のサービスを押しつける意図ではありません
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外出交通費を確認する方法

帳簿はまめにつけるのが一番ですが、交通費は後日でも確認できる場合があります。
領収書が出ない近距離の電車やバスの運賃は出金伝票に控えておきましょう。
モバイルSuicaであればアプリのSF(電子マネー)メニューに利用履歴表示メニューがあります。
Suica、PASMO、ICOCAなどのICカードの場合、対応券売機で利用履歴が印字できます。
たとえばSuica対応券売機では最大26週間、20件まで表示できます。
いずれも日付、乗車駅、下車駅、利用金額とチャージ残高が表示されます。
PiTaPaであれば券売機で過去6か月分まで遡って確認できます。
PiTaPaをIC対応券売機に入れ ICカード画面で「ご利用明細表示/印字」ボタンを押します。
仕事か私用かが判断できない場合、Googleマップアプリの「タイムライン」がヒントになります。
日付ごとに目的地と滞在した時間が分かるのでおおよその判断はつくでしょう。

保険契約のおまけ

保険契約には分厚い「しおり」や約款がつきものですが、便利なおまけがついていることもあります。
クラブオフなどの福利厚生サービスだけでなく、健康相談サービスも意外と便利です。
医師、看護師、保健師などの専門家が電話やメールで相談に乗ってくれます。
24時間フリーダイヤルを用意している会社もあります。
何となく不調でも病院に行く余裕がないとき、何科に行こうか迷うとき助かります。
保険契約者/被保険者限定で無料サービスとなっていることが多いようです。
加入している生命保険や医療保険にこうしたサービスがついていないか確認してみましょう。
案内資料を捨ててしまっている場合でも、各社のホームページで利用方法が確認できます。
契約を見直すときの条件のひとつにしてもいいかもしれません。
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現金勘定は使いよう

節約や蓄財には直結しませんが、記帳の手間を減らすヒントを一つ。
事業用口座から生活費を下ろすと仕訳は「事業主貸」勘定になります。
いっぽう事業用費用(経費を支払うための備え)を下ろすと仕訳は「現金」勘定です。
ある程度を現金勘定にしておくと記帳の手間が省けます。
また生活用口座への資金移動は50万円単位にまとめると記帳の行数そのものが減ります。
必要な分ずつ下ろすのは、生活用口座に移してからのほうが楽になるということです。
そしてクレジットカードやSuicaなどでの事業用出費を現金勘定からの支出として計上します。
カード類は本来なら現金でも預金でもない別勘定で管理しますが、その必要はないのです。
仕事に使った分だけ領収書を取っておくなり出金伝票を発行するなりすれば大丈夫。
電気料金や通信料金などの家事按分するものもいったん現金支出としておいて一括処理したほうが楽です。
入力の都度いちいち計算する手間が省けます。

所得を圧縮するには

個人にとって節税=所得税の軽減なので、課税所得を減らす=所得を圧縮することになります。
では実際、具体的にどういう手段があるでしょうか。
・青色申告を選択する
青色申告承認申請を行って青色申告決算書を確定申告の際に提出すれば最高65万円が控除されます。
なお、承認申請の手続きは業務を開始した日から2か月以内です。
2か月を過ぎてしまっている場合は翌年分から適用となります。
青色申告決算書は会計ソフトを使えば特に簿記の知識がなくとも簡単に作成できます。
・経費を計上する
仕事に関係する出費は領収書をもらって記帳しておきましょう。
領収書が出ない近距離の鉄道運賃などは会計ソフトなどで出金伝票処理をします。
稼ぎの多い年には、数年内に必ず使いそうな物資を買いだめしておく方法もあります。
自宅で仕事をしている場合、電気料、通信料などは家事按分を検討しましょう。
・貸倒引当金を計上する
売掛を伴う事業の場合、年末時点での売掛金の帳簿価額合計の5.5%以下までは貸倒引当金勘定へ繰り入れることで経費に認められます。
小規模企業共済に加入する
11月~12月でも初月分の金額を現金で用意すれば加入できます。
確定拠出年金に加入する
加入した月から12月までの掛金のみ控除(上限68000円)の対象となります。
個人年金保険に加入する
加入した月から12月までの保険料のみ控除(上限40000円)の対象となります。
・生命保険に加入する
加入した月から12月までの保険料のみ控除(上限40000円)の対象となります。
・医療保険に加入する
加入した月から12月までの保険料のみ控除(上限40000円)の対象となります。

個人年金保険の特徴

個人事業主は退職の概念がないので、退職金や年金には興味が向かないかもしれません。
それでも個人年金保険を検討するメリットと言えば、やはり節税効果です。
払い込み中は個人年金保険料控除(年間の上限4万円)を受けることができます。
余裕資金を定期預金に置いておくよりは利率もある程度ましです。
生命保険に含まれる商品のため、若いうちに契約したほうが保険料は割安になります。
途中で解約すると返戻金はほとんどの場合で払い込み金額を下回りますが、死亡時は全額が戻ります。
給付期間の長さによって終身年金、確定年金、有期年金の3種類あり、保険料も異なります。
終身年金は給付開始から一生涯その給付が続きますが、保険料は割高です。
確定年金は給付開始から一定期間、本人の生死に関わらず給付が続きます。
有期年金は給付開始から一定期間以内、本人が生きていれば給付されるという条件です。
このため家族に残す意図がなければ有期年金を選ぶほうが一般的に割安となります。
終身年金は概ね90歳以上まで長生きしないと言わば元が取れないようです。
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確定拠出年金は得か

確定拠出年金は個人型に「iDeCo」の愛称が付けられるなど話題になってきています。
自営業者の場合この個人型の対象となるのですが、そもそもどういう制度でしょうか。
・掛金(全額所得控除)の上限は国民年金基金と合わせて月額68000円まで
・加入者個人が運用の方法を決める
・運用が好調であれば年金額が増える(不調であれば減る)
・老後に受け取る年金額が事前に確定しない
・原則60歳まで引き出せない
までは厚労省のサイトからも簡単に分かりますが、さらに手数料もかかります
国民年金基金連合会の手数料(加入時2777円、運用中毎年1236円)のほか、取扱金融機関ごとに異なる運営管理手数料が必要です。
また運用の方法は投資信託が主体ですが金融機関によっては定期預金も選べます。
定期預金に毎月数百円の手数料をかける価値があるかは難しいところですが。
前述した小規模企業共済と比べると、確定拠出年金のほうがハイリスク・ハイリターンです。
小規模企業共済の老齢給付は65歳からですが、中途解約ができます。
確定拠出年金は60歳まで引き出す必要のない余裕資金が毎年確実にある人向けと言えます。
解約は原則不可で、掛金は毎年1回だけ1000円単位で変更でき、最低月額は5000円以上です。
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圧縮し甲斐のある所得のライン

所得税は超過累進課税のため、所得金額に応じて税率が変わります。
所得金額が大きいほど税率も上がるのですが、税率は2016年現在7段階です。
195万円以下、330万円以下、695万円以下、900万円以下、1,800万円以下、4,000万円以下、4,000万円超の段階ごとに税率が決まっています
これらの数字ぎりぎりの人は特に所得の圧縮し甲斐があると言えるでしょう。
特に330万円を境に10%→20%、900万円を境に23%→33%と跳ね上がります。
実際には控除額があるため所得金額330万円と330万1円では差がつきません。
ですが330万1000円以上になってくると税率の違いが効いてきます。
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この傾向は330万円超~695万円以下でも同じです。
因みに所得金額900万円のときは税額207万円ですが、900万1円になると297万円課税されます。